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執筆者の写真SMCaoba

縁の下の力持ち(飛行機と在宅医療)

更新日:5月30日

2024年1月1日、16時過ぎ、震度7の能登半島地震が発生

翌1月2日、18時前、羽田空港に着陸したJAL機(札幌発羽田行き、日航516便エアバスA350)と海上保安庁の航空機(ボンバルディアDHC8-300)が滑走路上で衝突、

ともに炎上し、日航機の乗客乗員379人は奇跡的に全員脱出し、死者はゼロ。

一方の海保航空機の男性乗員5人が死亡し、機長が負傷したとのこと。


この海保の航空機は、前日に発生した能登半島地震の被災者の救援に向かうところだったとの事で何ともやるせない。乗客全員の脱出を確認した後に、パイロットと客室乗務員も無事脱出したが、そのプロフェッショナリズムが世界中で称賛され奇跡と報じられている。

海保の隊員5名の死亡はとても可哀想なことだと思う一方で、あの燃え盛る飛行機の乗客乗員全員が速やかに脱出し、死者ゼロで済んだことに何とも言えない安堵感を覚える。


航空機は世界中で1年あたり7000万便(2019年)、

1日あたり19万便も世界を飛んでいるのだという。

世界の何処かで航空機が1機でも墜落したら、遠い国の事故であっても大抵はニュースになって日本でも報じられる。しかし、実のところ、とても安全に運行出来るように、事故を防ぐために幾重にも安全策が施されているらしい。

それらを全てすり抜けて起きてしまった今回の事故。


ところで事故が起きたら怖いのは車も一緒。

私はほとんど飛行機に乗る機会がない。電子化が進んだ今となっては空港職員の助けが無いと搭乗手続きも出来ないと思う。

帰省も車か電車で足りる。東京に出てきた高校の同級生など、かつて大学の夏休みに甲州街道を1週間かけて歩いて帰省した変わり者もいた。

普段、訪問診療で同乗する、または自分で運転する往診車のほうが、航空機よりよっぽど事故率は高いし、危険だろうなと思いつつ、もう一度安全運転の心構えを忘れないようにと肝に銘じる。


1分00秒〜10秒付近・整備士たちが飛行機を見送る


私は飛行機に乗る機会は殆どないが、雄大な飛行機の動画を見るのは大好きだ。

その中で、ほんの何秒間か、映像に映る人達がいる。

華やかなパイロットやCAと違って普段は意識されることがない縁の下の力持ち達。

安全運行のため、目立たない所で、一般人からはほとんど意識されない所で、

日夜プロとして働いてくれている人達。


動画の中に何秒間かだけ映る彼らは、離陸のため滑走路に向かう航空機に向かって、

両手を振り、最後は深々とお辞儀をして陰ながら地上から航空機を送り出す。

私はこれを見つけると大抵、数秒前のその場面に戻って、何度もクリックして見直す。

あの格好いい飛行機が安全に飛ぶためには、彼らの目立たない作業が絶対に必要であることを忘れてはいけない。裏方で、とても重要な役割を演じている不可欠な人達だ。


在宅医療でも、そんな役割を演じている人達がいる。訪問看護師やヘルパーさん。

いつも患者さんや利用者さんのために表情を伺い、身体状況の観察や必要な対処もし、生活のヘルプをしてくれる。目立たないが、これが無いと患者も家族も支えを失い、日常生活が回らなってしまう大切な存在だ。水道や電気などのライフラインと同様に、無くなって初めてそのありがたみを実感する、そういう基本的な存在だ。

私が夜、電気を消してクリニックから帰宅するとき、向かいにあるヘルパーの詰め所にはいつも電気がついている。声も聞こえてくるし、ちょうど車で帰って来たヘルパーと出会うこともある。きっと誰かのお宅に伺って身体介助、オムツ替えなど大変な作業をして詰め所に戻ってきたところだろう。患者さんの生活を支えるまさに縁の下の力持ちだと思う。




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